おしゃれな玄関・階段スロープの5つのポイント | 費用相場や注意点も解説
玄関スロープは、玄関前や外構の段差を解消し、車椅子やベビーカーの移動における負担を軽減できます。
自宅に玄関スロープを設置する際には、素材やデザインだけでなく、法律で定められている勾配や幅などにも注意して検討する必要があります。
この記事では、玄関スロープの費用相場や施工時のポイントについて解説します。
安全性を確保しつつ、利用目的に合ったおしゃれな玄関スロープを取り付けるために、ぜひ参考にしてください。
玄関にスロープをつけるメリット
自宅の玄関に傾斜が緩やかなスロープをつけることで、次のようなメリットがあります。
- ベビーカーや車椅子の移動がラクになる
- 足腰への負担が軽減する
- 見た目にもオシャレになる
下記でそれぞれ詳しく解説していきます。
ベビーカーや車椅子の移動がラクになる
玄関スロープを設置することで、ベビーカーや車椅子での移動が楽になります。
車椅子の場合、1cmの段差でも通行に支障が出やすく、自力で段差を乗り越えるには2cmの段差が限界です。
通常15cm〜20cmほどの段差がある階段では、誰かのサポートがないと上り下りができません。
玄関にスロープがあれば、段差が解消されるため車椅子利用者が1人でも楽に移動できます。
また、赤ちゃんの荷物を積んでいるベビーカーは、ある程度の重量があるため、1人で階段を乗り越えるとなると負担が大きいですが、スロープがあれば楽に通行できます。
足腰への負担が軽減する
階段よりも移動時の負担が軽減されているスロープがあれば、転倒のリスクを回避できます。
少子高齢化が著しい現代、二世帯住宅を中心に将来の介助や介護の可能性を考慮し、バリアフリー設計として玄関スロープを取り入れるケースも増えています。
加齢により足腰が弱っても、スロープであれば自力で外出しやすいため、両世帯が気負わずに暮らせる住宅を実現できるでしょう。
また、小さな子どもにとっては数㎝の段差でも移動の障害となりやすく、転倒する可能性があります。
階段の場合、夜間の帰宅時に足元が見えづらく、段差につまづく、あるいは踏み外すといったリスクも考えられます。
スロープなら子どもの足でも上り下りしやすいため、危険性を軽減できます。
見た目にもオシャレになる
素材やデザインにこだわった玄関スロープを設置すれば、おしゃれな外構が仕上がります。
土間コンクリートを打っただけの玄関よりも、タイルや石材を使ったスロープがあることで、彩りのある玄関スペースが実現します。
傾斜が緩やかなほど玄関周辺にゆとりが生まれ、空間演出効果も期待できます。
玄関にスロープをつけるデメリット・注意点
玄関にスロープをつける場合、スペースや費用などがデメリットとなる可能性があります。
また、場合によってはスロープを設置できないため、事前に調査を行うことが大切です。
玄関スロープを設置する上で考えられるデメリットや注意点について解説します。
階段よりも広いスペースが必要になる
玄関にスロープを取り付けるには、それなりのスペースが必要です。
国土交通省のバリアフリー法では、スロープの勾配は屋内で1/12(傾斜角度約5°)、屋外だと1/15以下(傾斜角度約4°)が望ましい基準として定められています。
例えば、10cmの段差を解消するために必要なスロープの長さは120cm〜150cmという意味です。
上記は目安であり、介護や介助が必要な場合を含め、できる限りなだらかなスロープが設置できるよう広さを確保する必要があります。
玄関まわりが狭く、門扉までの距離が短い外構では、折り返しのスロープにすることで、ゆるい勾配を実現可能です。
スロープは想像より多くの面積を必要とします。住宅は浸水しないように道路より高い位置にくるよう底上げされているため、玄関ポーチには2~3段の階段が設けられることが多いです。50㎝の高低差(階段3段程度)がある場合、約7.5mものスロープ面積が必要です。自走式のスロープを設置する場合は、外構の時点ではなく、建物設計途中で設計士と相談して面積を確保しておいた方が良いです。
施工費用がかかる
スロープの設置にはそれなりの費用がかかります。
アスファルトのシンプルな短いスロープなど約20万円で施工できるケースもありますが、手すりやフットライトの設置などを含めると30万以上が相場です。
また、スロープ本体以外に階段や塀の解体工事、外構や庭の形状変更といった工事が必要な場合、追加費用が発生します。
場所によっては施工ができないこともある
住宅の形状など条件によっては、玄関スロープを設置できない場合があります。
玄関前の敷地が狭く、スロープの設置が難しいケースなどでは、玄関以外の場所にスロープを設置する方法を検討する必要があります。
玄関の脇にスロープを付けて、正面は階段のままにする、あるいは玄関ではなくウッドデッキや勝手口などにスロープを設けるといった方法も有用です。
玄関スロープの種類
玄関スロープの種類には「階段付きスロープ」と「手すり付きスロープ」の2つがあります。
階段付きスロープは、玄関の階段に沿って取り付けるタイプです。
スペースがあれば簡単に施工でき、介護のサポートがしやすいといったメリットがあります。
手すり付きスロープは、スロープと並行して手すりを設置する形式です。
転倒のリスクを回避でき、自力で歩く補助として役立ちます。
目安として、3m以上のスロープには手すりを付けるのが望ましいでしょう。
スロープの床に適した素材にも種類があります。
主な材料は、タイルやコンクリート、石材、レンガなどです。
カラーやデザインが豊富なタイルは、破損部分の取替えが比較的簡単に行えます。
頑丈さを優先するならコンクリートや石材、美観や雰囲気重視で選ぶならレンガがおすすめです。
各素材の費用相場を以下に示すので、参考にしてください。
タイル | 12,000~50,000円/㎡ |
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コンクリート | 10,000~16,000円/㎡ |
石 | 16,000~26,000円/㎡ |
レンガ | 10,000~28,000円/㎡ |
玄関スロープ施工の費用相場
玄関スロープ施工費用の相場は、手すりを含めて約40〜50万円、手すりを設置しない場合は約20万円前後です。
設置スペースの状態次第では外構の整備が必要となり、別途工事費用が発生します。
スロープにフットライトを設置する場合、フットライトの商品代と設置工事費用がかかります。
商品の目安価格は1個あたり約15,000円〜25,000円、既存の壁に埋め込む場合の施工費用は、電気工事込みで1個あたり約8,000円前後です。
外構リフォームとして階段を合わせて設置する、庭の形状を変える、など追加工事の有無によっても費用は変わります。
助成金を活用して費用負担が抑えられるケースも
玄関スロープを設置する際に、介護保険制度の補助金を活用することで費用負担を抑えられる場合があります。
介護保険制度(高齢者住宅改修用助成制度)とは、介護が必要な人の住宅で、バリアフリー化などのリフォーム工事を行う際に、費用の一部を自治体が負担してくれる制度です。
要支援または要介護という介護認定を受けている人のみが、補助金の受給対象として認められます。
また、介護認定の申請を改修工事前に完了している必要があります。
対象となる工事は主に以下の5つで、玄関スロープの設置は「段差の解消」に、手すりを付ける場合は「手すりの取り付け」に該当します。
- 手すりの取り付け
- 段差の解消
- 床材の変更
- 扉の取り替え
- 便器の取り替え
上記の工事費用に対して、9割の補助金が最大20万円まで支給されます。
スロープ施工の場合、自己負担は約4〜5万円程度に抑えられる計算です。
玄関スロープを施工するときに押さえておくべきポイント
玄関スロープの施工では、現場の状況を十分に把握し、無理のない設置計画を建てることが大切です。
バリアフリー法で定められた勾配や幅の基準も厳守する必要があります。
ここでは、玄関スロープ施工において押さえるべき5つのポイントについて詳しく解説します。
勾配はできるだけ緩やかにする
玄関スロープの勾配は、最も重要な要素の1つです。
ベビーカーや車椅子など、スロープを利用する人のニーズによって楽に使える勾配は異なりますが、角度のきつい傾斜は車輪が重くなり、上り下りしにくくなります。
特に車椅子では負担を感じやすいため、スロープではできるだけ緩やかな勾配のスロープを造ることが大切です。
バリアフリー法の基準では、10cmの段差がある玄関の場合、15倍の1.5mのスロープが適しているという計算になります。
自走式の車椅子では、1/8勾配などの急な勾配では、後ろから押してもらうなどのサポートがないと危険とされています。
ただ、敷地が狭くてスロープの長さを確保できない場合は、スロープを折り返す形で設置することも可能です。
スロープは充分な幅を確保する
玄関スロープでは、充分な幅を確保することも重要です。
特に車椅子を利用する場合、幅に余裕がないと車輪がはみ出し脱輪してしまうリスクがあるため、余裕をもって設計する必要があります。
国土交通省は、車椅子が通行できる通路の最低幅を80cmとしています。
また、JIS規格の車椅子の幅は自走式が63cm以下、電動式で70cm以下のため、スロープの幅は最低80cm必要です。
実際のスロープでは、事故防止のためにも90cm〜100cm程度あると理想的です。
幅80cmのスロープでは、ほとんどのベビーカーは問題なく通行できます。
ただ、スロープに手すりを付ける場合は、手すり分の幅をさらに追加して設計する必要があります。
素材には滑りにくいものを選ぶ
スロープの素材には、滑りにくいものを選ぶことが重要です。
素材や仕様によっては、雨で濡れた際に転倒する可能性もあるため、安全性を考慮して選定しましょう。
滑りにくい素材として、インターロッキングや洗い出しがあります。
インターロッキングとは、コンクリートでできたブロックを互いに噛み合わせて舗装する方法です。
カラーバリエーションが豊富で、多彩なデザインを実現できます。
また、モルタルやコンクリートが固まる前に水で表面を洗い流し、砂利を露出させる洗い出しでは、砂利が滑り止めとして機能します。
逆に、石材やタイルは滑りやすい仕様のものが多いので注意が必要です。
スロープの出口に滑り止め加工を行うと、さらに安全性が高まります。
インターホンやポストとの位置関係を考える
スロープを設置する際には、インターホンやポストとの位置関係も考える必要があります。
既存の門扉や塀を部分的、あるいは丸ごと移動することで、スロープにゆとりを持たせることが可能です。
外構設備にインターホンやポストが付いている場合、位置が変わるため、不便に感じない位置を決めておく必要があります。
来訪者の目に付きやすく、手が届く位置かどうか、スロープ施工前によく検討しましょう。
フットライトをつければ夜も安心で外観の雰囲気もUP
夜間の外出が多い場合には、フットライトも必要です。
足元が暗いとスロープの幅が見えにくく踏み外してしまうリスクがありますが、フットライトにより足元を照らすことで安全性を確保できます。
等間隔で複数個のフットライトを設置すれば、夜間でもスロープや手すりが認識しやすいため、転倒する危険性を軽減できます。
埋め込み型のライトを使うと、歩行を妨げる心配も解消されます。
また、エクステリアの他の照明と組み合わせることで、庭や外構を美しく演出する効果も得られます。
防犯対策として有効な人感センサー付きライトは、暗くなると自動点灯し明け方に自動消灯する機能が付いたものが便利です。
フル点灯と照度の低い自動点灯を使い分けられるものなら、オン・オフを制御する手間も省けます。
おしゃれで安心の玄関スロープを叶えるには「失敗しない業者選び」が第一歩
玄関スロープは、車椅子やベビーカーの移動がしやすく、足腰への負担が軽減できるなどのメリットがある一方で、スペースの確保や施工費用が課題となる可能性があります。
介護保険制度の補助金が利用できる場合は、費用の9割が支給されるため、負担を軽減できます。
安全性が高くおしゃれな玄関スロープを実現するためには、玄関と外構全体において施工可能なスロープを検討する必要があります。
「外構・エクステリアパートナーズ」では、スロープ施工を含め外構工事の実績豊富なプロと多数提携しています。最大3社の外構業者に相談や見積もり依頼が可能です。
まずはお気軽にご相談ください。
玄関スロープを作る場合、コンクリート舗装が使われることがほとんどです。コンクリートの仕上げには色々な種類がありますが、滑りにくいように刷毛引き仕上げ(表面がざらざらした仕上げ)を選ぶと良いでしょう。タイルなどを選ぶ場合も滑り止め加工がされているものをオススメします。